読売わんわん

売ってません

U・x・U

自転車で家に帰る線路沿いの道を走っていた、暑かった昼間の風も段々ぬるくなって、夜が僅かに息をしていた 見るもの全てがたしかにそこに在った 昔たしか同じような夢を見た、自転車で走り続けた道に終わりはなかった このまま走り続けたらきっと私はそのまま終わることができる、そう思ったちょうどそのとき家に着いてしまった

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スーツを着て高校時代の通学路を歩いた、私の後ろを歩く中学生から見れば私は大人かなあと思ったけれど、スカートのしつけ糸が付いたままだった。もう行けない場所の思い出は、歳をとるたび1つずつ消えてしまえばいいのにと最近はよく思う。

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花を買って家に持って帰ってきてもさ、妻がずっと遠いとこにいるんだよ。こっちを哀しそうに見てんの。よく見ると、俺が買って帰った花、きったなくてさ。でも捨てられないの。金がもったいなくて。ゴミ箱も遠くにあんの。気付くと俺の手まで腐ってた。

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そっちから、大きな犬がかいてある看板が見えるだろ? うん。 あの犬は俺が飼ってるんだ。本当だよ。 嘘つき。 俺が、あいつに向かってお手って叫ぶと、あいつ利口だからさ、ちゃんとお手するんだ。 へえ、いい子だね。 信じてないだろ? うん、信じてない。